映画『バックドラフト』は、1991年に公開されたアメリカ映画です。ロン・ハワード監督が手掛けた本作は、壮絶な火災現場を舞台に、消防士たちの勇敢な姿と兄弟の確執と絆を描いた感動作です。火災の脅威とそれに立ち向かう消防士たちの勇敢な姿、そして家族の愛と葛藤が織りなす感動の物語は、公開から30年以上経った今もなお、多くの人の心を掴んでいます。この記事では、『バックドラフト』のネタバレを含むあらすじ、キャスト、作品の魅力を徹底解説します。
映画『バックドラフト』のネタバレ!
シカゴ消防局17分隊に所属する兄弟、スティーブンとブライアン。兄スティーブンは勇敢な消防士として活躍する一方、弟ブライアンは兄へのコンプレックスを抱えながら消防士の職務に励んでいました。2人の間には、幼い頃に消防士だった父の死を目撃したという過去が影を落としています。
そんな中、シカゴで連続放火事件が発生。調査を進めるうち、ブライアンは放火犯が仕掛ける爆発気流「バックドラフト」の謎に迫っていきます。そして、事件の真相を追うブライアンは、思いもよらない人物が犯人であることを突き止めるのです。それは、消防士仲間であり、父とも親しかったアドコックスでした。アドコックスは、消防局の人員削減によって仲間が殉職していく現状に憤りを感じ、不正を働く市議会議員への復讐として放火を繰り返していたのでした。事件の真相を知ったブライアンは、葛藤の末に兄スティーブンと共にアドコックスを止めようとしますが、化学工場で起きた大規模火災の最中にスティーブンは殉職してしまいます。
悲しみを乗り越え、ブライアンは消防士として、そして兄の意志を継ぐ者として、再び火災現場へと立ち向かっていくことを決意するのでした。
「バックドラフト」の概要
監督はロン・ハワード、脚本はグレゴリー・ワイデンが担当しました。1991年7月6日に公開され、世界中で約1億5200万ドルの興行収入を記録する大ヒットとなりました。
ロン・ハワード監督は、子役出身の俳優としても活躍後、監督に転身。『スプラッシュ』や『アポロ13』、『ビューティフル・マインド』など、数々の名作を世に送り出しています。緻密な演出と人間ドラマの巧みな描写は高く評価されており、アカデミー賞監督賞も受賞しています。
バックドラフトのキャスト
スティーブン・マキャフリー(カート・ラッセル)
シカゴ消防局17分隊の隊長。勇敢で熱血漢だが、強引な性格が災いして昇進できないでいる。 カート・ラッセルは、『遊星からの物体X』や『ビッグ・トラブル・イン・リトル・チャイナ』、『デス・プルーフ in グラインドハウス』など、多くのアクション映画で主演を務めてきたベテラン俳優。
ブライアン・マキャフリー(ウィリアム・ボールドウィン)
スティーブンの弟で、新米消防士。 兄へのコンプレックスを抱えながらも、消防士として成長していく。 ウィリアム・ボールドウィンは、アレック、ダニエル、スティーブンと共に「ボールドウィン兄弟」として知られる俳優。
ドナルド・リムゲイル(ロバート・デ・ニーロ)
火災調査官。 冷静沈着な性格で、連続放火事件の真相を追う。 ロバート・デ・ニーロは、『ゴッドファーザー PART II』や『タクシー・ドライバー』、『レイジング・ブル』など、数々の名作に出演し、2度のアカデミー賞受賞経験を持つ名優。
アドコックス(スコット・グレン)
17分隊のベテラン消防士。 マキャフリー兄弟の父とは旧知の仲。 スコット・グレンは、『ライトスタッフ』や『沈黙の戦艦』、『バーティカル・リミット』など、様々なジャンルの映画で活躍する実力派俳優。
バックドラフトのあらすじと結末
幼少期のトラウマと消防士への道
1971年のシカゴ。幼いブライアンは、消防士の父デニスと共に火災現場を見学します。しかし、消火活動中にデニスは殉職。目の前で父の死を目撃したブライアンは、心に深い傷を負います。 それから20年後、ブライアンは父の跡を継ぎ、消防士になります。兄のスティーブンもまた、父と同じシカゴ消防局17分隊の隊長として活躍していました。 しかし、幼い頃のトラウマからか、ブライアンは炎への恐怖心を拭いきれずにいました。
連続放火事件とバックドラフトの謎
シカゴで連続放火事件が発生。調査を担当する火災調査官リムゲイルは、現場に残された痕跡から、犯人が「バックドラフト」と呼ばれる爆発気流を意図的に発生させていることに気づきます。 バックドラフトとは、密閉された空間で火災が発生した際に、酸素不足によって燃焼が抑制された状態から、急に酸素が供給されることで起こる爆発的な燃焼現象。 リムゲイルは、犯人が炎を熟知した人物であると推測します。
兄との確執と消防士としての成長
ブライアンは、兄スティーブンの勇敢な姿に憧れながらも、彼との実力差に劣等感を抱いていました。 2人の間には、父の死に対する思いの違いから確執が生じていました。 しかし、過酷な火災現場を経験する中で、ブライアンは消防士としての責任感と使命感を強く認識し、成長していきます。
衝撃の真実と犯人との対峙
リムゲイルの助手として調査に協力することになったブライアンは、事件の真相に近づいていきます。 そして、ついに犯人がアドコックスであることを突き止めます。 アドコックスは、消防局の人員削減を進める市議会議員スウェイザクに復讐するため、彼と繋がりのある人物を狙って放火を繰り返していたのでした。
悲劇の結末と兄の意志を継ぐ決意
ブライアンは、スティーブンと共にアドコックスを止めようとしますが、化学工場で起きた大規模火災の最中にスティーブンは殉職してしまいます。 ブライアンは、スティーブンの最期の言葉「分隊の名誉のために、アドコックスのことは言うな」を守り、事件の真相を公表することなく、消防士として再び火災現場へと立ち向かっていくことを決意するのでした。
まとめ
映画『バックドラフト』は、火災の脅威とそれに立ち向かう消防士たちの勇敢な姿を、リアルな映像と迫力ある演出で描いた作品です。 また、マキャフリー兄弟の確執と絆、アドコックスの悲劇的な運命を通して、人間の弱さと強さ、正義と復讐といった普遍的なテーマを描き出しています。 公開から30年以上経った現在でも、色褪せることのない感動と興奮を与えてくれる名作です。