『室町無頼』は、垣根涼介による歴史小説です。2016年に新潮社より単行本が刊行され、2019年に新潮文庫から文庫版が発売されました。応仁の乱前夜、腐敗した京の都を舞台に、世直しを企てるならず者たちの生き様を描いた力作として高い評価を得ています。この記事では、『室町無頼』のネタバレを含め、その魅力を余すところなく解説します。
『室町無頼』のネタバレ!
応仁の乱前夜、京の都は富める者の横暴と飢えに苦しむ民衆で溢れていました。ならず者の頭目・骨皮道賢は権力に擦り寄りながら、市中警護役として暗躍し、密かに土倉襲撃を繰り返していました。一方、浮浪の徒を率いる蓮田兵衛は、生き残った土倉の小僧・才蔵を兵法者に育て上げ、民衆を糾合して世を変えようと画策します。
才蔵は過酷な修行を経て、武芸の達人へと成長し、道賢や兵衛と共に乱世を駆け抜けていきます。才蔵は京洛一の美女と謳われる芳王子と出会い、惹かれていきます。しかし、道賢と兵衛は、それぞれの野望のため、袂を分かつことになります。
才蔵は、道賢と兵衛の志を継ぎ、自らの正義を貫き、乱世に立ち向かっていきます。最終的に、才蔵は自らの手で道賢を討ち、兵衛の遺志を継いで、新しい時代を切り開く決意を固めます。
「室町無頼」の概要
『室町無頼』は、2016年8月に新潮社から刊行された垣根涼介による歴史小説です。応仁の乱前夜という激動の時代を背景に、ならず者や浮浪者たちがそれぞれの正義と野望を胸に、乱世を生き抜く姿を描いています。単行本刊行後、2019年には新潮文庫から文庫版も発売されました。 第156回直木賞候補作にも選ばれ、選考会ではクライマックスの修行シーンや、ある女性の妖艶なシーンが秀逸と評価された一方で、主人公が単純すぎるという指摘も受けました。
映画版の概要
2025年1月17日公開予定の映画『室町無頼』は、垣根涼介の同名小説を原作とした時代劇アクション映画です。日本の歴史において初めて武士階級として一揆を起こした室町時代の人物・蓮田兵衛の知られざる戦いをドラマチックに描き、室町時代末期を舞台に、飢饉と疫病で荒廃した日本で、一揆を起こして名を残した男の物語 です。
監督・脚本は、『22年目の告白 私が殺人犯です』の入江悠が務めます。主演は、本格的な殺陣・アクションに初挑戦する大泉洋。蓮田兵衛を熱演します。
兵衛に才能を見出され、鍛えられ、彼の手下となる青年・才蔵役には、アイドルグループ「なにわ男子」の長尾謙杜。兵衛の悪友・骨皮道賢役には堤真一。その他、柄本明、北村一輝、松本若菜ら豪華キャストが出演します。
大泉洋と堤真一による本格的な殺陣シーンや、長尾謙杜が見せる六尺棒を使ったアクションなど、見どころ満載です。長尾謙杜は、役作りのために棒術の特訓を受け、超人的なアクションを披露しています。撮影は東映京都撮影所で行われ、入江悠監督のこだわりが詰まった映像美にも注目です。
『室町無頼』の登場人物
骨皮道賢(ほねかわ どうけん)
ならず者の頭目。権力側に取り入りながら、私腹を肥やし、やがて才蔵と対立する。
蓮田兵衛(はすだ ひょうえ)
浮浪の徒を率いる謎多き人物。才蔵に兵法を学ばせ、世を変えようと企む。
才蔵(さいぞう)
没落武士の息子。蓮田兵衛に才能を見出され、厳しい修行を経て武芸の達人に成長する。
芳王子(よしおうじ)
京洛一の美女と謳われる高級娼婦。才蔵、道賢、兵衛とそれぞれ関係を持つ。
『室町無頼』のあらすじと結末
没落武士の息子、才蔵の登場
貧しい暮らしを送る才蔵は、天秤棒を使った棒術の腕前で、骨皮道賢と出会い、蓮田兵衛に引き合わされる。兵衛は才蔵の才能を見抜き、彼を兵法の達人のもとへ修行に行かせる。
過酷な修行と成長
才蔵は死と隣り合わせの過酷な修行に耐え、武芸の達人に成長を遂げる。修行の様子は、「貧弱野球部が敏腕コーチに特訓だと言われて農作業させられるようなベタさ」と評されている。
道賢と兵衛、それぞれの野望
道賢は権力に近づきながら、京の治安維持を任されるが、裏では土倉を襲撃していた。兵衛は各地を巡り、民衆の信頼を集めながら、世直しを企てる。
才蔵、芳王子との出会い
才蔵は、京洛一の美女・芳王子と出会い、惹かれていく。芳王子は、才蔵だけでなく、道賢、兵衛とも関係を持つ。
袂を分かつ道賢と兵衛、そして才蔵の決断
道賢と兵衛は、それぞれの野望のため、袂を分かつことになる。才蔵は、二人の志を継ぎ、自らの正義を貫き、乱世に立ち向かうことを決意する。
最終決戦と新たな時代へ
才蔵は自らの手で道賢を討ち、兵衛の遺志を継いで、新しい時代を切り開く決意を固める。
まとめ
『室町無頼』は、応仁の乱前夜という混沌とした時代を背景に、力強く生きる男たちの姿を描いた傑作です。それぞれの正義と野望が交錯する中で、才蔵がどのように成長し、どのような決断を下していくのかが見どころです。歴史小説でありながら、エンターテイメント性も高く、多くの人を魅了する作品です。