「フランケンシュタイン」と聞くと、多くの人はツギハギだらけの顔をした怪物をイメージするのではないでしょうか? しかし、原作小説ではフランケンシュタインとは怪物の名前ではなく、怪物を創造した科学者の名前です。そして、怪物には名前すら与えられていません。 今回は、小説『フランケンシュタイン』のあらすじから結末までをネタバレ込みで解説していきます。
『フランケンシュタイン』のネタバレ!
主人公の科学者ヴィクター・フランケンシュタインは生命の謎を解き明かし、人造人間を作り出すことに成功します。しかし、その醜さに恐怖し、怪物を置き去りにしてしまいます。 見捨てられた怪物は苦難の旅を続け、言語や愛情を学びますが、その醜さゆえに人間社会から拒絶されます。
孤独に絶望した怪物は、フランケンシュタインに自分と同じ種族の女性を作ってくれるよう要求します。 フランケンシュタインは要求を受け入れますが、怪物の増加を恐れ、約束を破棄します。 激怒した怪物はフランケンシュタインの友人や婚約者を殺害し、復讐を果たします。 後悔と悲しみに暮れるフランケンシュタインは怪物を追って北極海へ行き、そこで力尽きて死んでしまいます。
創造主の死を悲しむ怪物は、ウォルトンに自らの心情を吐露し、北極で自らの命を絶つことを告げて姿を消します。
映画版フランケンシュタインの概要
1931年に公開されたユニバーサル映画の『フランケンシュタイン』は、怪物のイメージを決定づけました。広い額、面長の顔、無数の傷跡、首に刺さったボルトというその姿は、その後も多くの映画で模倣されています。
フランケンシュタインの登場人物
怪物
フランケンシュタイン博士によって作られた人造人間。作品中では「怪物」としか呼ばれず、固有の名前はない。知性が高く俊敏。醜い容姿のために人間社会から拒絶され、孤独と絶望からフランケンシュタインに復讐する。最初は善良な性格だったが、人間社会から受け入れられず、次第に残忍な殺人鬼へと変貌を遂げる。
ヴィクター・フランケンシュタイン
生命の謎に魅せられた若き科学者。生命を操る野心から怪物を創造するが、その醜さに恐怖し、怪物を置き去りにしてしまう。怪物の復讐により、友人や婚約者を失い、自身も苦悩の末に命を落とす。
エリザベス
幼い頃にフランケンシュタイン家に引き取られ、ヴィクターとは兄妹のように育つ。後にヴィクターの婚約者となるが、怪物の復讐によって殺害される。
ヘンリー・クラーヴァル
フランケンシュタインの幼馴染。怪物の存在に苦悩するフランケンシュタインを心配する。フランケンシュタインと共に新たな怪物の創造に着手するが、怪物に殺害される。
ロバート・ウォルトン
北極探検隊の隊長。北極海で怪物を追って衰弱していたフランケンシュタインを救出する。フランケンシュタインから物語の全てを聞き、その死を見届ける。
『フランケンシュタイン』のあらすじと結末
北極海での出会い
物語は、北極探検中のウォルトンが姉に宛てた手紙という形で始まります。 ウォルトンは北極海で衰弱したフランケンシュタインを救出し、彼からある話を聞きます。
若き科学者の野望
フランケンシュタインは、若き科学者として生命の謎に魅せられ、生命を自由に操りたいという野望に突き動かされていました。 そしてついに、人工の肉体に生命を吹き込むことに成功します。 しかし、完成した怪物の姿は、あまりにも醜くおぞましいものでした。 恐怖に駆られたフランケンシュタインは、怪物を置き去りにして故郷のスイスへ逃げてしまいます。
怪物の苦悩と復讐
見捨てられた怪物は、苦難の旅を続けながら言語や愛情を学びます。 しかし、その醜い容姿ゆえに人間社会から受け入れられることはありませんでした。 ある時、怪物は人目を忍んである家族を観察し、彼らが親切な人々だと確信します。 しかし、怪物の姿を見た家族は、彼を激しく攻撃し追い払ってしまいます。
その後も善意で少女を助けたにも関わらず、その容姿ゆえに銃で撃たれるなど、怪物は人間社会から理不尽な扱いを受け続けます。 これらの経験を通して、怪物は人間に対する憎しみを募らせていきます。
再会と新たな要求
ついに怪物は、自らの創造主であるフランケンシュタインを見つけ出します。 そして、孤独に耐えかねた怪物は、フランケンシュタインに自分と同じ種族の女性を作ってくれるよう要求します。 怪物は「この願いを叶えてくれれば、二度と人前には現れない」と約束します。
破られた約束と悲劇の連鎖
フランケンシュタインは怪物の要求を受け入れ、友人のクラーヴァルの付き添いのもと、オークニー諸島で新たな怪物の創造に着手します。 しかし、新たな怪物の誕生によって人類に危害が及ぶことを恐れ、フランケンシュタインは約束を破り、作成途中の女性を破壊してしまいます。
裏切られた怪物は怒り狂い、復讐としてクラーヴァルを殺害し、フランケンシュタインの婚約者エリザベスまでも殺害してしまいます。
北極海での最期
フランケンシュタインは怪物を追って北極海へたどり着きますが、力尽きて倒れてしまいます。 そこでウォルトンに救出され、彼に自らの物語を語り終えた後、息を引き取ります。
フランケンシュタインの死後、彼の遺体の前に怪物が現れます。 怪物はフランケンシュタインの死を嘆き、ウォルトンに自らの苦しみと孤独を語り、北極で自らの命を絶つことを告げて姿を消しました。
まとめ
『フランケンシュタイン』は、科学技術の進歩によって生まれた悲劇を描いた物語です。 そして、外見で判断することの愚かさ、偏見や差別がもたらす悲劇、孤独と疎外感の苦しみといった普遍的なテーマを扱っています。 200年以上前に書かれた作品ですが、そのテーマは現代社会においても重要な意味を持ち続けています。